その時、何故彼らは抜けたのか (3)
こんにちは〜。
更新をかなりさぼってしまいました、すみません。
最近スペインのフットサルリーグではレギュラーシーズンが終了し、私の応援しているパルロというチームは残留を決めてシーズンを終えましたが上位8チームはプレーオフに突入しました。
個人的に準々決勝の中でも一番の注目だったカードはリーグ4位のハエン対リーグ5位のオサスナ・マグナです。
ハエンというチームは決勝戦でインテルを破りスペインカップを制覇したり国王杯でも決勝戦でバルセロナ相手に互角の戦いを演じるなど今年はかなり好調を保っており、リーグ制覇というタイトルに向けても自信を持って臨む形となりました。
一方のオサスナ・マグナは昨シーズンまで名古屋オーシャンズの吉川選手が所属していたチームで、今シーズンもエースのラファ・ウシンを中心に上位をキープしたままプレーオフへと突入しました。
両者のハイライトがあるので興味のある方はこちらをご覧ください。
果たしてどちらが先手となる勝利を手にしたのでしょうか・・・?(といっても動画の最初らへんでスコアが表示されてしまいますが(笑))
CA Osasuna Magna - Jaén Paraíso Interior. Cuartos de Final. Partido 1
さてさて、今回は「その時、何故彼らは抜けたのか」シリーズ第三弾となります!
改めて抜ける際の3原則を見ておきましょう。
①ボールホルダーへのプレッシャーの弱さ
②スペースの存在
③1個飛ばしのパスコースの確保
です。
どうでしょうか、思い出しましたか?
これらを頭において見て行きましょう~。
(4)クワトロのサイ
定位置(クワトロ、サイ、1個飛ばし、中央パラレラ、1対1、面)
スペインリーグのパルマというチームのオフェンスを見て行きます。
最初は次のようにクワトロの状態を構築します。
クワトロはサイを多く作ることに適していますから、フィクソの選手はボールを出すと
すぐに抜けます。
クワトロの状態では基本的に②、③は満たされていると考えてください。
①のボールホルダーの状態が良好であることも確認できるかと思います。
ここからクワトロのパス回しがスタートするわけですが、ここでボールを受けたもう1人のフィクソの選手は1個飛ばしのパスを選択します。
この1個飛ばしのパスを選択した瞬間に注目してほしいポイントは向こう側のサイドにいるアラが降りてくるアクションを既にしていることです。
これはもう一度動画を見ていただけるとか分かると思いますが、ボランチの動きをしようとしたように感じます。
そしてボールを持っていたフィクソはボールを受ける直前にこの降りてくるアラを視認しています。
これが次の抜ける動きへの布石となります。
さて、改めて1個飛ばしの選択をした後に目をむけましょう。
1個飛ばしのパスをボールホルダーがトラップした瞬間はまだ余裕がなんとかあることが分かるかと思います。
よって①はギリギリセーフですね。
因みにこの時にボールを止めてしまうと一瞬で詰まります。
ここでしっかりと中トラップができていることで①がクリアされます。
次にスペースですが、最初に抜けた選手が裏のスペースを一旦は埋めます。
が、すぐにサイドへとはけていく様子が分かるかと思います。
これはクワトロのローテーションにおいては非常に基本的なことになってきて、このように循環のスピードを速めることで裏のスペースがあきやすくなったりパスコースを確保しやすくなります。
したがって次のように裏のスペースが空き、②もクリアです。
そして最後の1個飛ばしのパスコースの確保ですが、先程の布石を思い出してください。
アラの選手がもう降りてきているので抜ける瞬間には既に1個飛ばしのパスコースが確保されることになります。
ということで③もOKですね。
したがってこのフィクソの選手は抜けることを選択します。
ここで相手ディフェンスに穴が生じます。
前の選手はゾーンディフェンスと考えて次のようにマークを受け渡します。
一方で後方の選手はマンツーマンと考えて降りて行ったアラについていこうとしました。
この結果先程抜けた選手は一気にフリーになることができました。
これを見逃さず、ボールホルダーがすかさずスルーパスを出して勝負ありです。
クワトロからの崩しの典型的なパターンとなっているかなと思うので、割と分かりやすいのではないかなと思います。
それにしてもどうしてこのような守備側のエラーが起こったのかは、非常に興味深い点ですね。
ここからは私の推測になってしまいますが、マークの受け渡しは基本的にプレスの強度によって判断するらしいです。
これは私が実際にトップレベルの指導を受けたことが無いのでインターネットや本などで仕入れた情報となってしまうのですが。
こちらのブログの記事に書いてあるのが主な根拠となっています。
ちなみにこのブログも有益な情報があるので、是非興味のある方はご覧になってみてくださいね~。
で、要はこのプレスの強度の判断が前方の選手と後方の選手でずれてしまったのかなと思います。
ということでクワトロ編は以上になります。
本当に一瞬の出来事なので、どうしても「上手く崩せたね」であったり「なんかマーク外れちゃったね」であったりとなんとなくで終わらせてしまいがちな部分ですが実はこのように細かい駆け引きが非常に詰まっています。
これが私が考える戦術的に観たフットサルの醍醐味かなと思います。
これで「その時、何故彼らは抜けたのか」シリーズは終了としますが、是非自身がプレするときや観戦したときぬ「抜ける動き」というものにしっかりとフォーカスを当ててみてください。
きっとフットサルがもっと面白くなるんではないのかなと思います。
読んでいただきありがとうございました。(=゚ω゚)ノ
次回はこの前エルについて聞かれたので、エルの記事を書こうかなと思っています~。